森雅裕『感傷戦士 五月香ロケーション PART 1』(新書版)です。普通の古本です。以下、個人的な感想。★★★★☆殲滅された戦闘民族の生き残りの女子高生が、巨悪と戦う伝奇小説である。台湾・高砂族につらなる伝説の民、飛虎族。飛騨の奥地にひっそりと暮していた彼らは、突然の自衛隊襲撃により、三名を残し、息絶えてしまう。主人公は、一人の自衛隊員により守れた少女。彼女は、その自衛隊員の養女として暮らすようになる。優れた身体能力を持つ少女という設定であるが、人間離れと言おうか。スーパーヒーロー並みだ。高校生になった主人公は、何故、一族が襲われたかを知ることになる。そこから、飛虎族の残党を巻き込んだ、大いなる陰謀との戦いが始まるのだった…。よく考えると無茶なストーリー展開だが、それを感じさせる間のないテンポよ良さである。折々に、主人公の育ての親の悲劇を織り交ぜて、読者の怒りを煽り立ててくる。敵に誘拐された義理の姉の救出劇が、本作品のクライマックスで、戦闘シーンは大迫力。ページ数は少ないが、読み応えがたっぷりだ。期待していなかっただけに、収穫物が大きかった。